道路や林道沿いでは、毎年繰り返される草刈りや伐採に大きな労力とコストがかかっています。
私たちは、植物が本来もつ「光環境の調整」や「アレロパシー(他感作用)」の仕組みに注目し、自然の力を利用した持続的で低コストな植生管理を目指します。
本研究会の特徴は、単なる植生制御にとどまらず、谷・山・傾斜といった地形条件に応じて、樹種・樹高・管理手法・サイクル期間を最適化する点にあります。
また、選木の工夫によって抑草効果を維持することを前提としています。
こうした発想は、従来の「均一的な刈払い・伐採管理」から大きく踏み出し、立地条件に適した植生デザインという新しいアプローチを社会に示すものです。
活動内容
1.事例調査と記録
各地の市道・林道沿いをフィールドに、上層木の樹種・樹高・本数、下層草本の種類・密度・高さを調査。谷や斜面など地形条件とあわせてデータ化する。
2.データベース化と分析
条件別に「雑草抑制が効いているパターン」を抽出し、管理サイクルの設計指針を作成。
3.実証試験の実施
調査結果をもとに、モデルフィールドを設定。間伐や下層カバー導入などの処理を行い、効果をモニタリングする。
4.知見の発信と共有
結果を報告書・学会・行政機関に発信し、実務への応用を目指す。
期待される効果
•管理コスト削減:従来の年数回草刈りに比べ、5年サイクルでの軽間伐に移行可能。
•地形条件に応じた最適化:谷や傾斜ごとに適した樹種・管理法を設定することで、普遍的なガイドラインづくりへ。
•安全・景観の両立:選木により光環境を制御しつつ、道路の見通しや景観を維持。
•学術・実務の橋渡し:大学・研究機関・行政・地域を結び、政策提言や論文化へつなげる。